山本たかしの政務調査ニュース

世界の発展から取り残される「日本の危機」

 我が国の領海・EEZ(排他的経済水域)・大陸棚等には、海底熱水鉱床、コバルトリッチクラスト、レアアース泥、メタンハイドレート等の鉱物資源・エネルギー資源が見つかっており、この資源を活用することができれば、我が国の経済成長を支えるだけでなく、世界経済の持続的な発展にも貢献することができます。領海を含めた「EEZ排他的経済水域」の面積は、約447万平方キロと国土面積38万平方キロの約12倍の広さを持っており、この広さは世界第6位です。


  さて、こうしたEEZ(排他的経済水域)周辺で、最近、連日のように中国やロシアの海軍艦艇が活動を活発化させています。この軍事的いやがらせの狙いは、おそらくロシアのウクライナ侵攻に対する西側諸国の連携によるロシアへ経済制裁ならびにクワッド(自由で開かれた太平洋)を主導したわが国への反発であろうと推察します。


  ところで、宇宙開発企業・スペースXの創設者CEOで、電気自動車メーカー、テスラ社のイーロン・マスク氏は、「日本はいずれ、経済的にも存在感を失うだろう」と指摘しました。その根底に「中国の経済成長が米国を抜き去り、将来的には2倍あるいは3倍になる」との予測があります。


  2020年の世界の国内総生産(GDP)のトップは22兆USドルの米国であり、次いで中国が14兆USドルの2位となっています。日本は、5兆USドルと辛うじて世界3位ですが、成長率は鈍化し、2008年のリーマンショック以降、日本の景気は低迷し続けています。


 海洋・エネルギー資源に恵まれているにもかかわらず、海洋研究推進や領土防衛、安全保障に積極的でない日本、EV自動車への転換に出遅れ、自動車大国としての地位を失いつつある日本、GAFAに代表されるIT分野での存在感が薄く、再生可能エネルギー分野での精彩を欠いている現状を考えると世界の国々の発展から取り残されるわが国の「危機」は深刻です。