横浜市政を取り巻く課題

課題.1人口減少社会の到来

人口減少社会の到来
  • 377万人の人口を抱える日本最大の都市横浜は、戦後復興と高度経済成長期の首都東京のベッドタウンとして人口が増え続けてきました。しかし、2019年をピークに人口減少時代に入り、2065年には300万人にまで減少する見通しです。急速にすすむ超高齢社会の社会保障経費の増大や都市基盤の老朽化に対する更新需要など歳出課題が山積しており、人口減少は横浜の活力を失わせます。人口減少に歯止めをかけ、横浜に持続可能な成長発展をもたらす戦略が必要です。

課題.2地域包括ケアシステム

地域包括ケアシステム
  • だれもが要介護状態となっても住み慣れたまちや地域で、自分らしく暮らすことができるよう、「地域包括ケアシステム」を2025年に向けて構築しています。そのためには、医療や介護、予防、住まい、生活支援が一体となって提供できる体制をつくらなければなりません。地域在宅医療連携拠点である地域包括支援センターや地域ケアプラザの整備が急がれます。磯子区では「第4期磯子区地域福祉保健計画(スイッチON磯子)令和3年度~令和7年度」をつくり、“誰もが幸せに暮らせるまちをみんなでめざす”を基本理念に、区役所、区社協、地域ケアプラザが中心となって、連合町内会エリアを基本とした9地区の地区別計画も策定し「地域が主役」の活動を行っています。

課題.3横浜の医療・介護・福祉

横浜の医療・介護・福祉
  • 急速に進展する高齢化、わが国では2025年までにいわゆる「団塊の世代」がすべて75歳以上となり、超高齢社会を迎えます。そのため、2014年から消費税増税分を活用した「地域医療介護総合確保基金」を都道府県に設置し、地域医療体制の充実(在宅医療の充実、介護施設整備、医療従事者の確保、介護従事者の確保、勤務医の超過勤務改善など)を図ってきました。病院病床の機能には、高度急性期、急性期、回復期、慢性期と4つがありますが、特に超高齢社会では、回復期や慢性期病床の確保が急務です。将来の医療需要を踏まえた医療提供体制の課題として、不足する病床機能の確保と連携体制、地域ケアシステム推進に向けた在宅医療の充実、医療提供体制を支える医療従事者の確保・育成があげられます。

課題.4少子化対策

少子化対策
  • 1971年の出生者数は200万人(合計特殊出生率は2.14人)でしたが、2021年は81万人(合計特殊出生率は1.31人)となり、少子化は深刻な社会問題となっています。出生者数の減少は「生産年齢人口の低下」にも影響し、経済への影響がきわめて大きく、消費や税収にも大きな影を落とします。少子化の原因には、「晩婚化」や「経済的自立」、「子育て環境」などが理由と考えられ、横浜に人口の社会的増をもたらす、企業や人を呼び込む政策の実現が必要です。国は、幼児教育、保育の無償化を実現しましたが、大学までの教育の無償化や出産費用の無償化については段階的に制度を拡充させる取組が必要です。

課題.5子育て環境改善

子育て環境改善
  • 女性が社会進出を阻んでいるのに子育て環境が改善されないことが原因の1つといわれています。たとえば、保育所の待機児童ゼロを目指す施策を継続的に行っていますが、保育の担い手である保育士の確保育成と保育士の処遇改善やスキルアップにも積極的に取り組む必要があります。

課題.6子どもの居場所づくり

子どもの居場所づくり
  • 幼児教育、保育の無償化などを通じた子育て環境改善とともに、学齢期を迎えた子どもたちの居場所をつくっていくことが女性が安心して社会で働けるための重要な施策といわれています。現在、「放課後児童健全育成施策」として、放課後キッズクラブと放課後児童クラブ(いわゆる学童クラブ)がありますが、委託方式と運営方式の違いによる予算の使い方に差があります。特に放課後児童クラブに対して運営補助金の増額、支援員の給与改善など、運営面での環境改善が必要です。

課題.7横浜の教育環境

横浜の教育環境
  • 横浜市内の公立に小中学校は2015度に耐震化工事を完了しましたが、1960年代から70年代にかけて集中的に整備した学校の長寿命化や建替が必要です。1981年度以前に建設された小学校274校と中学校111校、合計385校を対象とし、築70年に達する2051年までを事業期間とし、事業期間の事業費は1兆円と試算しています。
  • 学校の建替えにあたっては、少子化に伴う「学校統合」や脱炭素化に向けた「省エネ・創エネ化」、地域の公共施設との「合築化や複合化」などを検討していきます。 私立学校に通う子どもたちへの教育支援、学校におけるいじめ、教職員の長時間勤務、GIGAスクールに対応する教育プログラム開発、英会話教育、少人数学級に対応する教職員の確保など、課題は山積しています。

課題.8グローバル人材育成

グローバル人材育成
  • 横浜の子どもたちが世界で活躍するためのグローバル人材教育が重要です。横浜市では、国際的な舞台で活躍できるよう、「グローバル人材育成」をすすめており、2014年から「横浜市世界を目指す若者応援基金」を設立しましたが、低金利下での基金の維持やコロナの世界的流行の中で、海外留学も困難な状況になりました。今後の海外留学制度の継続的な運営には、民間からのクラウドファンディングなどの積極的投資支援を募る施策が重要です。

課題.9横浜市の財政状況

横浜市の財政状況
  • 日本の総人口の30%が大都市に集中しています。大都市は、これから一層の高齢化がすすみ、社会福祉の問題が大きくクローズアップされます。日本最大の基礎自治体(市)である横浜市も例外ではなく、福祉財源の確保が大きな課題です。横浜市の市税収入に占める個人市民税はおよそ6割を占めており、安定した税収が確保されてきましたが、少子化の進行による生産年齢人口の減少は、市民税収入の減少を招き、高齢化がすすむ横浜市の財源確保が厳しくなっています。
  • これまでは、保有土地の売却や基金の取り崩し、財源の年度間調整額の確保により、一般財源を臨時的に賄いながら、毎年度の財政収支の均衡を図ってきましたが、売却可能用地や財政調整基金残高の減少等により、今後は臨時的な財源に頼ることが難しい状況になっています。また、老朽化がすすむ市立学校、市営住宅の建替えやごみ焼却施設の更新など、公共施設の保全・更新への対応も必要となってきます。
  • 今後、持続可能な財政運営をすすめるためには、計画的な市債活用と「一般会計が対応する借入金残高」を適切管理していくことが必要であり、また、事業の「選択と集中」が必要になります。それに加え、成長を生み出す事業へと積極的財政出動を行いながら新たな財源確保策を講じることも、あわせて重要な都市経営戦略です。

課題.10防災・減災対策

防災・減災対策
  • 2023年は関東大震災からちょうど100年目となります。横浜市では過去の大震災の教訓に、市民、事業者への防災活動の促進など「自助・共助」を推進しています。また、近年は頻発化・激甚化する台風や大雨に備え、風水害への「逃げ遅れゼロ」を目指しています。また、2018年に発生した大阪府北部地震で、ブロック塀倒壊が原因で人命にかかわる被害が発生しました。このことを重く受け止め、横浜市内全域で「コンクリートブロック塀の改善工事費の一部補助」を行っているほか、地域火災の延焼を防止するため「狭あい道路拡幅整備事業」を行っています。さらに「緊急輸送道路沿道建築物の耐震化」や都市防災力の強化や情報通信ネットワークの信頼性向上の観点から「電線地中化」にも取り組んでおり、20224年には、環状3号線(杉田港南台地区)の電線共同溝事業では、自治体初となる「公民連携のPFI事業」がはじめました。横浜市は市内建設産業団体の方々との災害協定もむすんでいます。
  • 横浜市内の6割の市民がマンションなどの共同住宅に住んでおり、「よこはま防災力向上マンション認定制度」をつくり、災害に強いマンションと地域防災力向上に努めています。今後、首都直下地震や南海トラフ地震など、いつ起きるかわからない大地震や火災に備え、地域防災の要として、消防団、家庭防災員、防災ライセンスリーダーなど地域の自助・共助がますます重要となってきます。

課題.11特別自治市

特別自治市
  • 特別自治市は、神奈川県と横浜市の「二重行政」を解消し、国から委譲されている事務権限に見合った税財源をもつことができる制度で、実現すれば大きな行政改革につながります。横浜市は2013年に「特別自治市大綱」を策定し、横浜市神奈川県調整会議を通して、二重行政解消や権限、財源、税源の移譲について話し合いを持つように神奈川県に働きかけていますが、パスポートの発券業務の移管しか実績は得られていません。
  • 神奈川県は、横浜市、川崎市、相模原市の3政令指定都市が「特別自治市」になった場合、広域自治体としての財源が減少し、他の基礎自治体との総合調整機能に支障が出るとして、「合理性がない」、「法制度化は妥当でない」と反論しています。国税と地方税の不公平税制を是正するうえでも、「特別自治市」への市民理解が得られるよう取り組んでいきます。

課題.12経済の成長力

経済の成長力
  • 人口減少は、市内経済のパイを縮小させます。都市が成長し発展するためには、事業への投資が必要です。経済が成長しなければ、社会福祉の充実や都市インフラの整備、防災対策、教育環境の改善など、市民生活のかかわるすべての事業への財源が不足します。横浜市内経済が成長し発展すると、新しい産業や技術が生まれ、海外からの投資も拡大し、市内企業の経営安定し、雇用が生まれ、所得が増えます。経済の成長力こそ、大都市横浜の発展と市民生活の安心の源泉なのです。

課題.13横浜港の強化

横浜港の強化
  • 1859年(安政6年)に開港した横浜港は、横浜経済の活性化と市民生活を豊かにする総合港湾づくりをめざしています。今後はわが国を代表する国際貿易港として、東アジアのハブ港としての国際競争力強化をめざし、港湾機能強化と港の賑わい創出に取り組みます。
  • 「国際競争力のある港」としては、船舶の大型化に対応し、基幹航路の維持・拡大を図るため、新本牧ふ頭の整備、南本牧ふ頭MC1~4コンテナターミナルの一体運用、本牧ふ頭D5コンテナターミナルの再整備、日本最大の自動車取扱拠点である大黒ふ頭の岸壁改良による11隻の大型自動車専用船の同時着岸などに取り組んでいます。
  • 「観光と賑わいの港」として、山下ふ頭は、IR誘致断念を機に、新たな事業計画の策定に向けた民間事業者から事業提案募集をすすめています。 「安全・安心で環境にやさしい港」として、脱炭素社会をリードする、「カーボンニュートラルポート」の形成など、新たな施策に挑戦していきます。

課題.14観光・MICE

観光・MICE
  • 横浜市がグローバル都市として成長していくための起爆剤となるのが「観光・MICE」です。国際都市として発展してきた横浜市の観光需要は、2020年2月に発生した新型コロナウイルスア(COVID-19)のパンデミック(世界的流行)の中で、大きく落ち込みました。2019年の横浜の観光集客実人員は3634万人、観光消費額は3762億円でしたが、2020年には集客実人員は1629万人、観光消費額は1050億円と大きく減少しました。今後のコロナが収束後の、インバウンド需要の回復におおいに期待できます。
  • 日本政策投資銀行(DBJ)が日本交通公社(JTBF)と共同で「DBJ・JTBFアジア・欧米豪 訪日外国人旅行者意向調査(2020年12月)」を実施しましたが、「次に海外旅行したい国・地域」のトップが『日本』でした。その理由は「食事の美味しさ」「清潔さ」「治安の良さ」であり、どの国、どの地域からも高く評価されました。
  • アフターコロナ社会の観光として着目されているのは、自宅から1時間圏内の宿泊観光や日帰り観光をさす「マイクロツーリズム」やニーズの多様化による個人旅行である「FIT(Foreign Independent Tour)」です。その成功のカギは、団体旅行やパッケージツアーでは経験できない「日本」の食や文化、歴史、そして「コト」体験などの新たな魅力あるローカルコンテンツ発掘と「滞在型観光」のナビゲーターにあります。
  • 横浜市は、2022年から観光DMO法人化として新たに「横浜観光コンベンションビューロー」の体制強化に取り組むとともに、2020年春に開業したパシフィコ横浜ノースによるMICE拡大に取り組みます。

課題.15脱炭素化

脱炭素化
  • 横浜市の新たな成長エンジンとなるのが「脱炭素化」です。横浜市は、国の2030年温室効果ガス排出量削減目標46%(2013年比)を上回る50%の削減目標を打ち出しました。この実現に向け、「横浜市地球温暖化対策実行計画」において、業務・産業・家庭・運輸・エネルギー転換の部門ごとに目標達成に向け取り組んでいきます。そのひとつに、みなとみらい地区の「脱炭素先行地域」での取組みです。みなとみらい地区の36社が省エネに加え、太陽光パネルなどの設置による再エネによるゼロカーボンスキームです。また横浜港におけるカーボンニュートラルポート形成については、東北13市町村との連携による再エネ電力が導入されます。
  • 森林環境税は、わが国の温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止を図るための地方財源の安定確保のため、2024年から年間1000円個人市民税とあわせて課税徴収されます。そして森林環境譲与税は、地方山間部における森林整備や都市部の国産木材の利用促進を主目的として2019年度から、国から自治体へ配分されており、横浜市では小中学校建替事業に充当していきます。
  • 2021年木材利用促進法が改正され、横浜市も令和4年度に方針を策定し、市内建築物の木造化・木質化の普及に取り組んでいきます。国産木材の利用にあたっては、木材の生産・製材・加工・流通・建設の各プロセスにおける課題を把握し、木材利用の普及が円滑にすすむよう自治体間の連携や支援策について戦略的にすすめていく必要があります。

課題.16緑の保全

緑の保全
  • 横浜市は、大都市でありながら市民生活の身近な場所に、多くの樹林地や農地など多様な緑を有しています。これらの緑を次世代に引き継ぐため「横浜市水と緑の基本計画」の重点取組として、2009年度から「横浜みどり税」を財源の一部として「横浜みどりアップ計画」をすすめています。その1つに「緑地保全制度」があります。これには、緑地保存地区」「源流の森保存地区」「市民の森」などがあり、市民の協力をいただき樹林地の管理や買取などを行い、豊かな緑を残す取組をしています。
  • また、2017年に開催した第33回全国都市緑化よこはまフェアは、約600万人の国内外からの来場者を迎え、高い評価をいただきました。2027年3月に開催予定の国際園芸博覧会は上瀬谷通信施設跡地(100ha)の成功に向け、「ガーデンシティヨコハマ」を国内外に発信しています。

課題.17Y-PORT企業

Y-PORT企業
  • アジアをはじめとした新興国では、急速な都市化の進展に伴う人口増加と無秩序な市街地の拡大や、都市インフラや住宅整備の遅れに伴う生活環境や自然環境の悪化といった都市問題が発生しています。これらの課題に対して、これまで横浜市が培ってきた都市づくりのノウハウと市内企業の有する環境技術などを活用して、国際技術協力を推進しています。その中心的な役割を果たすのが、Y-PORTセンターです。Y-PORTセンターは横浜市が推進する公民連携による国際技術協力(Y-PORT事業)を実施するプラットフォームです。水道局、下水道局、資源循環局等を中心に横浜市内企業アライアンス(YUSA)の協力を得、アジア諸国へ技術指導を行っています。JICAやアジア開発企業との連携による新たなビジネスマッチングにもつなげている「Y-PORT事業」は横浜市の国際貢献事業として大変注目を集めています。

課題.18横浜農業(地産地消)

横浜農業(地産地消)
  • わが国の食料自給率は、自給率の高いコメの消費が減少し、飼料や原料を海外に依存している畜産物や油脂類の消費量が増えてきたことから、年々低下傾向にあり、2021年度ではカロリーベースで37%と過去最低となっています。
  • 横浜市も都市化により、農地面積が減少し、食料自給率が低下してきています。横浜市内では、農地と住宅地が混在した都市で西区を除き、17区には農地があり、市域面積の約7%にあたる2850haの農地があり、主に市内の3451戸の農家が耕作しています。(磯子区:氷取沢農業専用地区20.9ha)
  • 横浜は大都市でありながら、市民に身近な場所で野菜やコメをはじめ肉などの農産物まで多品目の農畜産物が生産され、美しい農景観が広がっています。意欲の高い生産者、市内産の農畜産物を利用する飲食店・事業者、「農」に関心の高い市民等が中心となって「地産地消」をすすめているのが横浜の特徴です。市内小中学校でも「食育」を行っており、横浜の大切な農地を保全していくことはきわめて重要です。

課題.19健康横浜21

健康横浜21
  • 健康長寿社会を実現するため、横浜で取り組んでいる「健康横浜21」。すべての市民を対象に乳幼児期から高齢期まで継続して、生活習慣の改善や、生活習慣病の重症化予防を行うことで、いくつになってもできるだけ自立した生活をおくることのできる市民を府増やすことをめざします。中心的事業が横浜ウォーキングポイント事業です。平成29年度からスタートしましたが、18歳以上の市民を対象に、30万人の参加目標でスタートしましたが、初年度から目標を上回る300193人が参加し市民意識の高さを示しました。しかし65歳以上(15万人)、40歳~64歳(12万人)に比べ39歳以下は3万人にとどまりました。成人病予備軍である39歳以下の市民の参加が課題といえます。

課題.20IR導入

IR導入
  • 2018年7月にわが国において、「IR実施法(特定複合型観光施設区域整備法)」が成立しました。IR(統合型リゾート)誘致の最大の目的は、外国人観光客を取り込むことで、施設での消費や交通需要の拡大などを促進し、経済が活性化し雇用創出にもつながることです。IR(統合型リゾート)は、民間事業者の運営による1000億円規模の税収効果が得られる『公民連携』事業です。IRを整備することで、付随して莫大な経済効果が生まれることは世界各国の状況をみても明らかです。しかし、一方で、ギャンブル依存症やマネーロンダリングなどに対する懸念があり、その対策を万全なものにしなければなりません。
  • 少子高齢化が急速にすすむ横浜市としては、将来の都市の成長戦略として、事業パートナーの選定準備をすすめていましたが、2021年の横浜市長選挙で「カジノ反対」を掲げる山中竹春氏が新たに市長となったため、「IR撤回」は撤回されました。将来の市財政に大きな懸念がある中で、財源確保策として期待されたIR(統合型リゾート)でしたが、市民の判断が「NO」という結果となったため、引き続き、財政課題は残りました。

課題.21消費税増税

消費税増税
  • 1961年に創設された国民皆保険制度は、誰もが安心して医療サービスを受けることができる世界に類のない優れた制度であり、医療技術の進歩と相まって我が国を超高齢社会にしました。
  • 現在、65歳以上の高齢者の年間医療費は90万円、15歳から64歳までの国民は17万円であり、毎年1兆円規模で医療コストが増え続けています。
  • 子育てや介護問題を解決する財源が必要です。2019年10月には、消費税が8%から10%へ引き上げられましたが、増税分は、待機児童の解消(2020年度末までに32万人分の受け皿拡充)や幼児教育・保育の無償化(3歳~5歳までのすべての子どもたちの幼稚園・保育所・認定こども園の費用無償化、0歳~2歳児は、所得が低い家庭を対象に無償化)、高等教育の無償化(所得が低い家庭への授業料減免・給付型奨学金支給)、介護職員の処遇改善、低所得高齢者の介護保険料減免、低所得年金受給者への最大年6万円支給など、社会保障充実と子育て支援など「全世代型社会保障」を実現する源泉なのです。

課題.22外国人材の活用

外国人材の活用
  • 昨年暮れの臨時国会において、出入国管理法案(いわゆる入管法)が改正されましたが、これからの人口減少社会における深刻な労働力不足を解消するために、働き方改革と合わせ、外国人材の確保は避けられない状況です。
  • 低下し続ける生産年齢人口に歯止めをかけ、労働力を確保する緊急避難的な対策が急務であり、外国人労働人材を確保することが不可欠です。

課題.23待機児童解消

待機児童解消
  • 「子育て安心プラン」は2017年度に策定されましたが、政府は、目標年度を2年間前倒し、2020年度までに32万人の受け皿整備を行おうとしています。
  • 都市部で高騰した保育園の賃借料への補助や大規模マンションでの保育園の整備促進、保育園用地の土地提供のインセンティブ施策として土地を有料で貸し付けている所有者に対する固定資産税の課税措置の特例措置や減免などの税制措置を行います。
  • また幼稚園における2歳児の受入や預かり保育の推進、企業主導型保育事業の地域枠拡充、家庭的保育の地域コンソーシアムの普及、小規模保育や病児保育などの多様な保育の受け皿確保に取り組みます。
  • 保育人材確保のため保育補助者を育成し保育士の業務負担の軽減、保育コンシエルジュによる保護者のための出張相談等が支援パッケージの充実が必要と考えます。

課題.24介護人材確保

介護人材確保
  • 75歳「2025年問題」という言葉が広がっています。団塊の世代が後期高齢者、75歳以上になるといわれる2025年は、横浜の人口の3分の1が高齢世帯となります。
  • 人口も2025年には366万人と10万人減少します。認知症高齢者の数が増え続け、介護サービスの需要が高まります。現在、横浜市内には医療、介護施設のベッド数は2万ベッドあるといわれています。そのうち、3000のベッドが利用されない状態にあります。これは介護人材が不足しているためです。また病院や介護施設のベッドを増やすより、在宅介護、地域介護をベースにした介護が必要となります。在宅介護を基本とした介護訪問ヘルパーの確保も重要です。

課題.25がん検診の受診率向上

がん検診の受診率向上
  • 日本人の死亡原因の第一位はがんによるものであり、およそ2人に1人が罹患する病気で3人に1人ががんによって亡くなっています。
  • 2006年制定のがん対策基本法の趣旨を踏まえ、横浜市ではがん予防と早期発見、さらに全ての市民が適切ながんに係る医療が受けられるように、「横浜市がん撲滅対策推進条例」を2014年6月に制定しました。
  • また、がん受診率50%を目標に受診勧奨に取り組み、2019年のがん検診受診率は胃がんが50.7%、肺がんが47.95%、大腸がんが44.6%、子宮頸がんが52.2%、乳がんが51.6%と着実に受診率は向上しています。
  • 受診率向上の取組として子宮頸がんに関する啓発活動として、妊婦健康診査の検査項目となっており、母子健康手帳交付時期に検診補助券を配布しています。横浜市の受診者総数は約40万人には受診勧奨通知を送付しています。

課題.26中学校給食

中学校給食
  • 2021年4月から、中学校給食(デリバリー型)の提供を開始しています。年平均20%を超える喫食率となり、前年にくらべおよそ2倍に増えています。また、生徒の荷物の負担などを軽減し、スムーズに中学校生活に移行するために、一定期間、新一年生は、中学校給食の利用を推奨する「さくらプログラム」を86校で実施しましたが、2022年は、対象を全校(145校)に拡大し実施します。
  • さらに、給食化に伴い、食材費60円増額したことで、より食材を充実することができています。デリバリー方式は、食缶方式よりおかずの品数を2~3品多いため、多彩な食材を使った献立を提供できるのが特徴です。毎月、生徒に配布している献立表に中学校給食を通じた食育の取組を掲載し、中学校給食の魅力を伝える広報に取り組みました。2022年4月の喫食率は昨年を上回る29.6%でした。