山本たかしの政務調査ニュース

“こども、ど真ん中の社会”実現に!『こども家庭庁』設置法案が可決

 6月15日に閉会した第208回通常国会で、「こども家庭庁」設置法案が可決成立しました。令和5年4月1日から、『こども家庭庁』が誕生します。
 こども家庭庁は、こども政策を「一元化」し、こども政策の「司令塔機能」を一本化することを目的としています。その範囲には「青少年の健全育成や子どもの貧困対策、子ども・子育て支援、少子化対策、児童虐待、医療的ケア児等」が含まれ、内閣府でこども施策を担当してきた部局と厚生労働省の子ども家庭局および障害児担当部門が統合されます。 しかし、教育については引き続き文部科学省の所管になり、「幼保一元化」の取組などに課題が残されました。
 1970年代高度経済成長期のわが国の合計特殊出生数は、年間200万人を超えていましたが、2016年には、100万人を下回り、令和3年度の合計特殊出生率は81万人(出生率1.3%)です
社会の持続的成長の維持のためにも、「少子化対策」に重点をシフトする必要があります。
 『こども家庭庁』が目指す理念は、“常に「こどもの視点」にたち、こどもの最善の利益を第一”に考えることです。そのための課題は3点です

第一に、『子どもコミッショナーの設置』です。
 子どもコミッショナーとは、「子どもの人権を守ることを目的とする機関」で、子どもの権利条約を批准した国に、その設置が求められています。子どもコミッショナーは、子どもの権利侵害について調査し、子どもの代弁者として政府などに改善を求めたり、子どもの権利を周知する活動や、子どもの相談を受けて救済につなげる活動などを行います。 子どもが自分にどのような権利があるのか知らなければ、権利が侵害されていても『声』として上がってきません。子どもには選挙権もなく、困っていても訴える方法が限られます。そのため、子どもの状況を改善するためには、権利条約の内容を周知したり、子どもの声を聴いて子どもに代わって改善を求める、「政府から独立した機関」が必要なのです。

第二に、『自治体レベルの取り組みの推進』です。
 こども家庭庁という司令塔をつくっても、自治体が指示通りに動くとは限りません。また、自治体間の取り組みには格差があります。すべての『子どものウェルビーイング実現』に向け、自治体のレベルでも、子ども政策の責任者の配置を義務付けるとともに、国が全国の自治体の取り組み状況を定期的に評価するなど実効性あるしくみづくりが期待されます。

第三に、『保育制度の所管省庁一本化に向けた検討』です。
 小学校入学前の子どもが通う施設は、文部科学省が所管する幼稚園、厚生労働省が所管する保育所、内閣府が所管する認定こども園の3つに分かれています。海外では、すべてのこどもの健やかな成長を目的として、親が働いているかどうかにかかわらず、質の高い保育を保障するという方向で、保育制度が見直され一元化しています。複数の省庁に所管が分かれていると、行政事務の非効率や財源の無駄遣いという問題が生まれます。将来的には、保育制度の所管の一元化を検討すべきです。


横浜市におけるこども子育て支援は、9つの基本施策でウェルビーイングの実現を目指します。 今後、『子ども家庭庁』の設置をうけ、横浜市の子ども政策をさらに充実、深化するよう取り組んでいく必要があります。

酷暑到来、『脱マスクのすすめ』
学齢期から青年期までの子ども・青少年の育成施策の推進
若者の自立支援施策の充実
障害児への支援の充実
生まれる前から乳幼児期までの一貫した支援に充実
地域における子育て支援の充実
ひとり親家庭の自立支援/ 配偶者からの暴力(DV)への対応と未然防止
児童虐待防止対策と社会的養護体制の充実
ワークライフバランスと子ども・青少年を大切にする地域づくり