山本たかしの政務調査ニュース

くらしに寄り添い、明日への活力をつくる。市民・文化観光・消防常任委員会

令和4年度の私が所属する常任委員会がきまりました。

人口減少社会における消防体制の課題

 少子高齢化、人口減少社会が到来した横浜市は、地域社会の維持と地域活力の強化が大きな課題であり、消防団を中核とした地域防災力の一層の向上をめざすことが必要です。また、災害の多様化・複雑化が一層すすむことが予想されます。4つのプレートに囲まれ、世界のM6以上の地震の2割が発生する地震国であるわが国は、南海トラフ地震や首都直下地震などの発生確率が高まっており、これらの巨大地震への対応が急務となっています。

 また、自然環境の変化、とりわけ最近のわが国の降雨状況は局地化、激甚化の傾向は強く、1時間に50mm以上の降雨が発生する回数は最近10年間(2012年から2021年)は327回で期間の最初の10年間(1976年~1985年)の226回の約1.4倍と増加しています。(気象庁調べ) これは、地球温暖化の影響と考えられ、私たちは、いつ大きな自然災害が起こりうる時代となったことを認識しなければなりません。さらに、高度経済成長期に整備されたインフラの急速な老朽化により、化学プラントなどの危険物施設での事故の増加も懸念されるとともに、近年の国際情勢の不安定下、テロ等に伴う事案も懸念され、決して現実では起こりえない問題とはいえなくなってきています。

 一方で、AIや情報通信技術等の発展とデジタル化の進展は、これからの社会の変革への大きなカギといえます。特にビッグデータやICT技術の活用した、「一人暮らしの高齢者に関する情報の共有」は、災害時における住民避難のありかたや救急搬送時の時間短縮などにも大きな可能性が期待できます。また建物不燃化や難燃化に関する技術の進展やロボット応用技術を活用した効果的な消火活動などに大きな期待がもたれます。

 人口減少時代の到来で、横浜市は行政の効率化や人員の適正化が必要ですが、一方で、消防職員は、超高齢化の要請の中の救急搬送需要の増加に対応し、人員強化しなければなりません。横浜市の最近10年間(2012年~2021年)の救急出動件数は年平均185,730件で、平成元年(83,952件)と比べ、約2.21倍となっており、横浜市民への消防救急サービスが増加し続けています。

 今後の人口減少や高齢化の進展を考えたとき、事前措置である『予防』に重要性が高まっているところですが、近年は、予防業務が縮小傾向になっていることが懸念されます。予防査察等の専門的教育の充実が消防行政の課題と考え、常任委員会の中で確認していきたいと思います。

 また、定年退職後の消防職員の活用についても課題です。現在、消防団等の地域自主防災組織への参加協力などが見られますが、本年、制定された「よこはま防災力向上マンション認定制度」や「横浜市マンション管理適正化推進計画」に基づき、高経年マンションの防災力向上のための防火指導サポート等にも、消防職員のさまざまな知見を発揮することが重要と提言していきます。