山本たかしの政務調査ニュース

財政ビジョン特別委員会報告

成長を創る財政出動をすべき!

財政ビジョン特別委員会報告

1.議論の焦点
5月27日、横浜市会では、少子高齢化、人口減少社会の進展による将来の長期財政推計上の収支不足を解決する『財政ビジョン』の策定に関する質疑が行われました。自民党からは歳出改革の考え方やDX推進の効果、データの活用とアウトカム(成果)志向の予算編成、安定税収を生み出す経済戦略、大都市横浜の成長戦略、特別自治市制度など、幅広く内容にわたり、市長との議論をすすめました。

2.財政ビジョンと中期計画の整合性に疑問
『財政ビジョン』と年内に策定される中期4か年計画(2022-2025)との『矛盾』が指摘されています。山中市長は、昨年の市長選挙で公約に示した「3つのゼロ」や「中学校給食」などの事業を実現させようと、中期4か年計画(2022―2025)(素案)に反映しました。
しかし、選挙公約で示した事業の実現には、莫大な予算が必要となることが明らかです。一方で、減債基金に頼らない財政ビジョンの健全化策としての歳出改革は、「事業の選択と集中」を行うものです。中期4か年計画に市長公約を盛り込むことは、財政ビジョンと矛盾し、市民にとっても「公平性」、「平等性」、「納得性」が得られないことは明白です。

3.横浜の成長をつくる政策課題 
山中市長は、横浜の成長には、人口の自然増と社会増の両面が不可欠として、若い子育て世代を横浜に呼び込む政策を重視しようとしています。しかし、子育て世代を横浜に呼び込む投資が、成果となって市の税収増に結びつくまでには、タイムラグが発生します。そのため、速効性のある増収政策への積極的な財政出動が必要です。それは、「DX」、「ゼロカーボン」、「観光MICE」、そして「スタートアップ」による法人税収獲得施策です。

2030年、温室効果ガス排出削減目標50%をめざす
横浜市地球温暖化対策実行計画の課題

 2021年4月、国は2030年度の温室効果ガス排出量を46%削減(2013年度比)とすることをうけ、2022年横浜市では国の目標を上回る2030年度50%削減(2013年度比)を設定しました。 横浜市では、『横浜市地球温暖化対策実行計画』を策定していますが、2030年度部門別削減目安をみると、新たな課題が見えてきました。それは、『家庭部門における排出量削減が少ない』という課題です。

【温室効果ガス50%削減時の部門別排出量】
 2013年度排出量①から2019年度排出量②への削減傾向(トレンド)から、2030年度の排出量見通し(トレンドケース)を想定すると(③)、業務部門や産業部門は、国の削減目安をほぼ達成する見通しですが、家庭部門、エネルギー転換部門、運輸部門の排出量(トレンドケース)④は、国の削減目安⑤より下回っています。横浜市が2030年度排出量削減率目標50%を達成するためには、排出量削減目標⑥にまで低減しなければなりません。

温室効果ガス50%削減時の部門別排出量
業務部門(オフィス・商業施設)、産業部門(製造業・建設業)、家庭部門(家庭)、エネルギー転換部門(電気・ガス・石油精製)、運輸部門(自動車、鉄道・船舶)

家庭部門の方策(参考:地球温暖化対策計画 令和3年10月閣議決定)

1.住宅の省エネルギー化

建築物省エネ法の改正と省エネルギー基準適合義務対象外住宅の2025年度までの省エネルギー基準への適合の義務化
2030年度以降の新築住宅のZEH基準水準の省エネルギー性能の確保
整合的誘導基準・住宅トップランナー基準の引上げ、省エネルギー基準の段階的な水準の引上げ

2.高効率な省エネルギー機器の普及

トップランナー基準の遵守と高効率照明やエネルギー効率の高い給湯設備の更なる普及
家庭用燃料電池(水素燃料電池を含め)のさらなる導入
省エネルギー性能の高い中・大型浄化槽の導入を促進する。
①HEMS・スマートメーター・スマートホームデバイス導入と徹底したエネルギー管理の実施