山本たかしの政務調査ニュース

温暖化対策統括本部の「市民・企業と連携した脱炭素化プロセス」

2020年3月1日 ゼロカーボンヨコハマ 


ゼロカーボンヨコハマは、未来への投資

 近年、記録的猛暑や台風被害など、横浜市においても気候変動の影響をうけた多くの自然災害が市民生活に大きな影を落としています。令和2年第1回市会定例会(予算議会)においても、市民生活の安全・安心のための「災害に強い都市づくり」をテーマに多くの予算が組まれました。また、横浜市においてもこうした気候変動に対する危機感をもち2050年までの脱炭素化「ゼロカーボンヨコハマ」を宣言しました。先見性をもった未来への投資を遅滞なく進めていく必要があります。

温暖化対策統括本部の重要性

 横浜市は平成23年度に「温暖化対策統括本部」を設置し、多くの先進的な取組をすすめてきています。特に「ゼロカーボンヨコハマ」をすすめていくためには、市民、企業、事業者が温暖化対策のムーブメントをつくることが重要です。そこで脱炭素化をリードする先見性をもった自治体初の温暖化対策統括本部ならびに環境創造局の取組に対し、議論をしました。

市内中小事業者への温暖化対策支援について

 市内企業の99.6% を占める市内中小企業の生産活動に依存している横浜市にとっては、市内中小企業の協力なくしては、「脱炭素化」の実現は困難です。しかし、温暖化対策にかかる負担は重く、中小事業者の経営面でのサポート等、脱炭素化の取組がすすむよう支援が必要です。

市民・事業者への温暖化対策の意義や協力について

横浜は、人口370万人を超える日本最大の都市であり、都市として最大の力は「市民力」です。しかし温 暖化対策統括本部ができて10年経過する今でも、市民・事業者の温暖化対策の盛り上がりが欠けるのが大 きな課題です。

電気自動車の普及促進について

 電気自動車の普及には充電設備の導入補助や超小型モビリティを活用した実証実験などの取組をすすめ てきました。市内充電設備は800基以上設置されましたが、普及台数は4000台程度にとどまっています。 市の中期4か年計画(2018~2021)では9000台を目標としており、さらなる取組強化が必要です。

バーチャルパワープラント構築事業について

 横浜市では平成28年度から59校の小中学校に蓄電池を設置し災害時の電力確保に努めています。今後は小中学校にとどまらず多くの公共施設における再生可能エネルギー(太陽光発電)を活用したバーチャルパワープラント(仮想発電所)の展開が不可欠です。

新市庁舎におけるRE100の実現について

 市内最大級の事業所である市役所が率先して最高水準の省エネルギーと再生可能エネルギー100%を両立するRE100(リサイクルエナジー100%)を実現することはゼロカーボンヨコハマを全世界に発信する画期的な取組です。

大規模開発エリアにおける温暖化対策について

環境未来都市としてスマートシティプロジェクトをリードしてきた横浜市はSDGs 未来都市として認定され、SDGsデザインセンターのもとで脱炭素化へ誘導する重要なミッションがあります。特に、IR(統合型リゾート)誘致をめざす山下ふ頭や市立大学2病院、先端医科学研究センター、市大医学部が集結する候補地である米軍根岸住宅地区は、「脱炭素化」をめざす横浜の戦略エリアです。開発計画段階から温暖化対策の構想を盛り込んだ視点が不可欠です。

マイクロプラスチック研究の必要性

神奈川県や横須賀市と連携し、環境省予算を活用した「産官学共同研究」をリードすべきだ。

 プラスチック問題について世界的関心が高まっており、5mm 以下のプラスチック(= マイクロプラスチック)については、生態系に影響を及ぼすことが懸念されています。横浜市では、プラスチック対策をすすめていくための『よこはまプラスチック資源循環アクションプログラム』を策定し、このなかでもマイクロプラスチックへの対応が示されています。マイクロプラスチックを含む海洋プラスチック問題を解決するためには、その実態をしっかりと調査することが重要ですが、調査方法が確立されていない状況です。そうした中にあって、横浜市では、市内水域におけるマイクロプラスチックの実態把握に取り組んでいますが、検出・除去などの技術開発を進める企業との協力連携が不可欠です。 神奈川県や横須賀市と連携すると共に、横浜市が環境省予算を活用した産官学共同研究をリードすべきと考えます。

都心エリアにおける浸水対策

(エキサイトよこはま竜りゅうぐうばし宮橋雨水幹線事業)

 昨年は日本各地で相次ぐ台風の上陸や記録的な豪雨が頻発し、横浜市では時間降雨量100mm の雨を観測するなど、大雨による浸水被害が発生しました。1日の乗降客数が230万人を超える巨大ターミナル横浜駅には、JRをはじめ多くの鉄道路線が乗り入れ、集客施設やオフィスビルが立地しており、こうした都市機能が集積したエリアには都市防災機能として河川や下水道とまちづくりが連携した浸水対策が重要です。令和2年度着工の「エキサイトよこはま竜りゅうぐうばし宮橋雨水幹線整備事業」は、そごうやスカイビルが面する帷子川河口の浸水被害を防ぐ対策として整備が急務であり、時間降雨量74mmまで整備水準を引き上げる効果が期待できます。