山本たかしの政務調査ニュース

令和5年度予算案

2023年3月16日 定例会・委員会 

横浜市会は3月16日に令和5年度予算案をすべて可決し、閉会となりました。私たちの生活に最も身近な一般会計予算は1兆9022億円、前年比3.7%減となっています。

私は、3年間におよぶコロナ禍の期間、低迷した市内中小企業の経営支援の必要性をあらためて実感し、予算議会でも、『横浜経済の成長には市内中小企業への積極的投資を呼び込む政策・施策の実行が必要』と提案しました。

投資対象は、デジタル化であり、ゼロカーボンです。

こうした投資を積極的に行うことで、企業の経営体質を強化でき、新しい技術開発のチャンスも広がると思います。

さて、横浜市の予算の骨格となる「歳入」は市税収入が、2.1%増の8619億円です。今年の春闘では、歴史的物価高や人材獲得競争の影響で、大手企業を中心に満額回答となり、市税収入の増加をおおいに期待したいところですが、横浜市内の99.6%を占める中小企業にその影響が波及するかは疑問です。

なぜならば、中小企業は依然として経営環境が厳しく、賃上げを容認できる体力がないからです。

そのため、横浜市がしっかりと中小企業を下支えする政策を打ち出すことが必要です。

横浜市が中小企業対策をしっかりと行うことで、市内中小企業の経営の安定と雇用の創出、新産業、新技術の創造が可能となると思います。

一方で、横浜市の一般会計予算1兆9,022億円のうち支出、その56.4%が『義務的経費』で占められています。福祉、保健、医療などに必要な『扶助費』と『職員人件費』市債を償還(返済)する『公債費』で、1兆1202億円に上る見込みです。すなわち、一般会計予算の6割がすでに使いみちが決まっているのです。

一般会計予算合計が1兆9022億円ですから、差し引いても8,000億円程度しか、自由に使える予算がないことは、やはり『問題』だと思います。

今後ますます、少子化が進み、生産年齢人口が低下する一方で、高齢者数が増えると、税収不足が危機的状況になる恐れがあります。

昨年、2022年の出生数が初めて80万人を切りました。

1971年から1974年の第2次ベビーブーム時代には毎年200万人を超えていました。

また、『団塊の世代』と言われる1947年から1949年の戦後世代では、年間出生数は260万人を超えていました。ところが、昨年2022年の出生数が初めて80万人を切り、厚生労働省の調査では、2040年には、74万人と減少すると推計されています。

少子化問題は、我が国にとって、最も重要な課題のひとつであり、国と横浜市が危機感を共有し、スピード感を持った対策を講じることが重要です。

その令和5年度予算ですが、山中市長の肝入りの予算編成となりました。

中期計画の基本戦略である『子育てしたいまち、次世代とともに育むまち横浜』を前面に押し出したものとなっています。

これも少子化対策のひとつです。

子育て世代の方々からニーズ調査をしたところ『子育てへの経済的支援の充実』や『子育て世代の8割の方が日常的な子供の預かりについて困っている。』、『良質な教育を提供する学校』などの要望が出されました。なので、新年度予算では、「子育てや教育に6296億円、33.1%のウェイト」で配分されました。

具体的には、

  1. 小児医療費助成の拡充
  2. 出産費用に関する調査
  3. 保留児童解消に向けてニーズの高い1.2歳児の受入枠の確保(1295人分)
  4. はじめてのお預かり券.24h
  5. 子サポdeあずかりおためし券8h
  6. 医療的ケア児等の受入環境整備(医療的ケア児サポート保育園12園新規認定)
  7. 病児・病後児保育事業の対応
  8. 放課後施策の充実
  9. 中学校給食の充実(さくらプログラムの全校実施)36%目標
  10. 参考値:令和4年30%
  11. .教育の質の向上、教育DX
  12. 子育てDX

などです。

小児医療費助成は、横浜市では、今年の8月から、すべての所得制限を撤廃して中学生まで無償化していきますが、神奈川県内33自治体のうち、21自治体が『18歳まで、所得制限なし』に拡大する見通しです。どこの自治体も子育て世代を呼び込む政策として、『小児医療費助成』に力を入れています。私は、今後、横浜市ができるだけ早く18歳までに拡大すべきだと考え、その実現を目指していきたいと思います。

しかし、そのための安定的、持続可能な財源を確保しなければなりません。

神奈川県の見解でも『国が全国一律制度とすべきだ』と言ってるように、横浜市における18歳までの医療費助成拡大には、国を動かす必要があります。私は、自民党の議員として、これから国に対して、自民党、国会議員と連携して国に対して、『医療費助成拡充』に取り組んでまいります。誰もが安心して出産や育児ができる街、横浜を目指し「子育て世代への直接支援」に予算を充実させてきたのが、新年度予算の特徴です。

一方、どうしても変えてはならないものもあります。

高度経済成長期に東京のベッドタウンとして急激な人口増加となった横浜市では、学校や市営住宅、道路他、市民利用施設などの公共インフラを、このとき集中的に整備してきました。そうした公共インフラが一斉に更新時期を迎えています。公共インフラの老朽化に伴う更新は、市民の安心安全を守る上で、安易な先送りは許されません。なによりも市民の安心安全を優先しなければなりません。こうした事業について、着実な執行をこれからもチェックしていきます。

加えて、横浜市の高齢化対策も喫緊の課題です。

現在、横浜市の高齢者数は95万人、2025年には団塊の世代の方々が75歳の後期高齢者となると、横浜市の高齢者人口は100万人を突破します。今後ますます高齢化が進むと、介護サービスの質量ともに不足するという極めて深刻な事態になり、その対応が迫られます。地域包括ケアシステムのゴールは2025年であり、誰もが住み慣れたまちで安心して暮らすことのできる社会を実現するためにも、介護サービス事業者の環境改善、地域介護福祉事業の充実に取り組んでいきます。

最後に、私はこの議会で『財源確保』をテーマに政策局に質問しました。

今後の横浜市が少子高齢化、人口減少時代を迎え、市税収入の減少、社会保障コストの増大に対応できないという認識は市民の皆様と共有していると思いますが、新たな財源確保への『解』がなかなか見つかりません。長期的、安定的な財源として期待されたIR(統合型リゾート)整備は市民の声で廃止となりましたが、市民生活の安全安心を実現するために、『安定した持続可能な財源捻出』が必要です。

新年度に、政策局に『財源確保推進課』、財政局に、『ファシリティマネジメント推進チーム』をおくこととなりました。

横浜市の財源確保の本気度が伺えます。

ネーミングライツ事業、ふるさと納税制度、フイルムコミッション事業、共創フロント、公民連携スキームなど、あらゆる手法を駆使して、これからの安定した財源を探すことが必要です。

最後に、私のスローガンに触れたいと思います。『地域が主役』です。

私たち横浜市会議員は、市民の皆様から選ばれた代表として議会に臨んでいますが、あくまでも市民の皆様の負託に応える立場であり、市民の声や生活からくるさまざまな課題を解決することが求められています。いわゆる市民の皆様が主役であり、私たちはその代弁者です。

私が12年間、毎朝の駅頭でのご挨拶を欠かさず行なってきました。この間、多くの市民の皆様からさまざまな声をいただきました。これは、秘書として仕えた菅義偉衆議院議員(第99代内閣総理大臣)の教えからでした。菅先生は『毎朝の駅立ちは市民の声や生活を肌で感じる貴重な時間だ』と常々言われていました。朝の駅立ちは、菅義偉先生の言葉、『常在戦場』の原点だと思います。

私は、これからも市民に寄り添う市政を心がけてまいります。これからも皆様の声を私、山本たかしまでお寄せくださいますようお願いいたします。以上で、市政報告とさせていただきます。

ありがとうございました。