山本たかしの政務調査ニュース

中長期戦略にみる横浜市政の課題

2020年4月1日 定例会・委員会 

令和2年市会第1回定例会(予算議会)を終え、4月から新年度がスタートしました。2か月にわたる予算議会の焦点となったのが、「少子高齢社会、人口減少社会の中での安定した横浜市政運営と新たな横浜の活力をつくる成長戦略のありかた」でした。
 新型コロナウィルスが蔓延するなかでの健康不安と重なり、未来に向けた横浜の新たな成長を予感する予算が組めたかというと課題が残ったと思います。
 社会経済情勢が大きく、めまぐるしく変化する中では、大都市横浜における都市経営の舵とりは一層難しく、とりわけ税収の硬直性がより顕在化する中にあっては、未来の成長のための思い切った投資に対する市民の共感も得にくく、総花的かつ前年踏襲型の財政出動にとどまらざるを得ないことにはいささかの不満を感じるところです。時代の閉そく感を打破するための夢と希望あふれる予算をつくることに十分な成果をあげられなかったことに課題を残したといえます。
 今、大都市の横浜市政に求められているのが、これからの時代を正しく見通す洞察力と先見性、そして市民と共感できるビジョンを示すことです。多様化する市民ニーズに対しては「すべてに応える柔軟な対応力」ではなく、「選択と集中」による事業の見直しの必要性を市民に理解を求めることです。
 そういった意味では中長期的な政策課題の掘り起こしが不可欠と考えます。予算議会において21000千円の予算計上がされている「中長期的な政策課題等の検討に向けた調査」について質問をいたしました。主な質問項目は以下のとおり。

  1. 横浜市が中長期的政策課題等の検討に向けた調査を行う背景や理由
  2. 現状における中長期的政策課題に対する横浜市の認識
  3. 総務省がすすめる2040年頃を見据えた自治体戦略への認識
  4. 人口減少時代にあった新しい社会経済モデルの検討の必要性
  5. サービス提供者の変化への対応(労働・産業・ICT の変化、自治体行政の課題)
  6. 2040年頃の横浜市内経済予測

2040年頃の社会環境変化

自治体戦略2040年構想研究会(総務省)

≪労働・産業・ICT の変化≫

  • 2040年にかけて生産年齢人口の減少が加速。若者、女性、高齢者の労働市場への参加がすすまない場合には日本の労働人口は大きく減少。
  • 有効求人倍率が高い介護、看護、保育、建設、運輸などでは、将来的にも労働者不足が生じる見込み。
  • 就職氷河期に就職した世代は、2000年代前半から継続して、所定内給与額が低い。就業意欲がある長期失業者、無業者が多い。
  • 技術革新により従来技術を使った製造業の競争優位が失われる恐れ。
  • テクノロジーの進展により、ロボットやA(I 人口知能)と共存・協調する社会を構築することが求められる。
  • 開業率・廃業率が低水準にとどまり、産業の新陳代謝が低調。
  • 観光業は人口減少下では、収穫逓減により所得減となる可能性。東アジアなど近隣国の市場拡大への対応が求められる。

≪自治体行政の課題≫

  • これまでの地方行革により職員数は減少。人口減少がすすむ2040年頃にはさらに少ない職員数での行政運営が必要になる可能性がある。
  • 近年の採用数減による職員数の山となっている団塊ジュニア世代が2030年代に退職期を迎えることを見据えた職員体制の整備が求められる。
  • 社会保障にかかる経費(民生費)や老朽化した公共施設・インフラ更新に要する費用(土木費、農林水産費、教育費)の増大が想定される。
  • 歳入では、所得や地価が減少、下落すれば、地方税収が減少する可能性。