山本たかしの政務調査ニュース

【検証】「IR」導入の課題

2019年8月17日 技術と産業 

横浜市では「観光MICE」を軸に経済・文化観光戦略を成長エンジンと位置づけ、導入是非を「白紙」のまま、「IR」の課題を事業者から説明をききながら検証しています。超高齢化・人口減少化がすすむ大都市横浜にとって、社会保障を支える財源確保が喫緊の課題です

 「IR」は、収益を社会保障やインフラ整備に生かすという大きな財政メリットをもっています。しかし、持続可能な財源が維持できるかは将来において不透明です。「IR」が提供する競争力あるサービス価値も、いずれは新たなサービス価値に置き換わることも避けられず、経営における永遠のグッド・サイクル維持は不可能であることは立証されています。不断の改革なくしては、「負のスパイラル」に陥る懸念があります。

 最近では、中国、韓国、台湾などの東アジア諸国に依存してきた観光MICE事業も、米中貿易摩擦や日韓関係の悪化などから、観光消費額低迷が懸念されています。クルーズ寄港が飛躍的に増加するための基盤整備に余念のない横浜港にあって、観光消費額低迷は深刻な課題です

 世界の観光都市ランキング1位の京都でさえ、外国人旅行客による「観光公害」に悩まされ、民泊にも規制が始まりました。横浜においても外国人旅行客による市民生活への影響は心配です。

 「IR」は、大きな魅力であると同時にその「安定性」「透明性」「社会性」において懸念があります。こうした問題をクリアにしなければ、横浜市がうける都市財政負担は免れないでしょう。