山本たかしの政務調査ニュース

脳卒中・循環器病対策

2019年5月15日 医療・介護 

ハマの健康シリーズ①

昨年12月の国会において、医療・看護に関する3つの議員立法が成立しました。民間による臍帯血取引を規制する「改正造血幹細胞移植推進法」、妊娠期から成人期に至るまでの切れ目のない医療支援を行うことを規定した「成育医療等基本法」、そして「脳卒中・循環器病対策基本法」です。脳卒中は(脳出血、脳梗塞、くも膜下出血)は、日本人の死亡原因第1位の「がん」に次ぐ疾患で、発症後の後遺症などの影響も大きく、医療費や介護費負担が大きな社会問題となっています。

「脳卒中・循環器病対策基本法」は、循環器疾患の予防推進と治療体制を強化するため、医療現場に直接的な影響を与えます。今回は、この「脳卒中・循環器病対策基本法」を取り上げます。 同法の成立により脳卒中や心臓病などの循環器病の予防を推進し、病気になる人を減らし、健康寿命の延伸や医療・介護費用の負担軽減を図ることが期待されています。この法律の成立を受け、国や都道府県には循環器病対策を推進するための計画策定を義務付けられ、予防や診断、治療法の開発に役立てるため国立循環器病研究センターや関係学会が協力し全国から循環器病の症例情報を集めるための体制整備が始まります。

増加する社会保障費 2005年を1とすると、2025年で1.75倍、2035年で2.0倍と超高齢社会の社会保障費は急増しています。

脳卒中・循環器病における現状

  1. 脳卒中・循環器病で年間33万人が死亡
  2. 超高齢化の中で、患者数が増加
  3. 医療費全体の20%、6兆円。

脳卒中が引き起こす3つの問題点

  1. 寝たきり 寝たきり原因の3割以上(認知症を含めると6割)
  2. 認知症 原因の約2割は脳卒中
  3. 社会負担 医療費 1兆7千億円
    介護費 1兆9千億円 (患者数は250万人以上 年間12万人が死亡)

【循環器病4大疾患】

  1. 心不全 5年間の死亡率50%
  2. 急性心筋梗塞 突然死や心不全の原因
  3. 大動脈解離 働き盛りの命を突然奪う
  4. 不整脈 脳卒中や突然死の原因

2018年12月成立 脳卒中・循環器病対策基本法

【期待される効果】
救急医療とリハビリテーションで生活の質の改善。
脳卒中対策をすることで、寝たきり・認知症対策になる。
予防法の普及で発症が減らせる。

今回の脳卒中・循環器病対策基本法成立に長年看護現場で活躍されてきた、石田まさひろ参議院議員からお話を伺いました。

「脳卒中・循環器病対策基本法成立に思う!」

今回の脳卒中・循環器病対策基本法成立に長年看護現場で活躍されてきた、石田まさひろ参議院議員からお話を伺いました。

「脳卒中・循環器病対策基本法成立に思う!」

看護師として勤めた最初の病棟が循環器内科だったため、この議員立法に強い関心がありました。循環器疾患は脳と心臓あわせ日本人の死因の2位と4位を占めており、働き盛りの年代に起こることが多いため対策は急務です。

介護保険を受けている要介護5の人の半分が循環器疾患という現実がある以上、もはや治療だけでは足りません。「予防」、すなわち生活習慣病対策の強化と疾病管理が必要です。

疾病管理を充実させなければ、結果的に後々、要介護者増加に繋がります。具体的には一度退院した患者の服薬管理や指導、外来を看護師が中心となって疾病管理ができたならばきっと役立ちます。

参議院厚生労働委員長
石田まさひろ氏
参議院厚生労働委員長
石田まさひろ氏
  • 今回の「脳卒中・循環器病対策基本法」が成立したことは、超高齢社会を迎える横浜市にとって、将来の「医療・福祉費の適正化」を図る上で、大変インパクトのある法律制定であると評価します。同法を通じて、医療体制整備がさらに促進されることを望む一方で、市民一人ひとりへの教育啓発の充実による「予防」と「発症時対応教育」の成果が発揮されることを期待します。
  • 万一、発症した場合でも、後遺症軽減や再発予防に向けた様々な社会的サポートは欠かせません。検診システムの充実、新たな治療法の開発、緊急治療の拠点整備、患者のカルテ管理など、健康長寿社会の実現に大きな一歩を踏み出すことが期待されます。
  • 同法では、都道府県に循環器病対策を推進する計画策定を義務付けるとあります。地域医療計画策定主体は神奈川県にありますが、横浜市においても、予防・治療体制整備に向け、関係する医療・介護団体の意見を取り入れ、市民の健康維持と急性期治療の充実に向けた施策を主体的に展開していくことを要望します。また、服薬管理においても、神奈川県薬剤師会との連携も必要と考えます。

歯科口腔保健充実に向けたBOC(ベーシックオーラルケア)の必要性

 近年、医療現場は病院で治療する時代から、早期に退院(退院支援)し、在宅での治療やリハビリを行う時代に変化しています。
これまで歯科衛生士や看護師が病院で行っていた口腔ケアも同様に在宅や訪問看護の現場で行う機会が増えています。
 また、在宅で行う口腔ケアは、訪問してくれる看護師やヘルパーではなく、一緒に暮らしているご家族が行わなければならない現状もあります。
口腔ケアを行うことで誤嚥性肺炎を予防したり、認知症予防にも効果があることが証明されています。
BOCプロバイダーは、一般社団法人訪問看護支援協会の認定資格です。(https://boc-provider.info/