山本たかしの政務調査ニュース
ヤングケアラー問題
超高齢・人口減少社会の介護を担う子ども・若者の現実
新型コロナウイルスの流行が長期化する中で、社会的な孤独・孤立の問題は深刻さを増し、その中でも『ヤングケアラー』は、年齢や成長の度合いに見合わない重い責任や負担があることで、本人の育ちや教育に影響があるといった課題があります。厚生労働省によると、『ヤングケアラー』には法律上の定義はありませんが、障害や病気がある家族に代わり、家事やきょうだいの世話などを日常的に行っている18歳未満の子供を指します。
『ヤングケアラー』が生まれる背景には、まず介護を担う人手が家族内にないことが挙げられます。三世代同居率の低下、専業主婦世帯の減少、ひとり親家庭の増加など、以前に比べ家族の形は縮小の一途を辿ってきました。このため家庭内に「家族のケア」を担うことのできる大人がおらず、必然的に子どもが引き受ける結果になっています。
そもそも本来、大人が担うべき家事や「家族のケア」を日常的に行っていることにより、本来、社会が守るべき、子どもの権利が守られていないのです。
横浜市では、こうした「ヤングケアラー」を支援するために、まずは、令和4年度、家族の介護や世話に追われている子供「ヤングケアラー」の実態調査をはじめて行います。
調査は今年の夏頃の予定で、市立校の小学5年、中学2年、高校2年、市内にある県立高校2年の児童・生徒、計約7万5000人を対象にアンケート形式で実施する予定です。
令和4年度の一般会計当初予算に関連事業費1200万円を計上しており、調査のほか、広報用のチラシや動画もつくる予定です。
『ヤングケアラー』が担っている「家族のケア」とは、「家事の一部を手伝う」といった意味合いではありません。障害や病気のある家族の介護に加え、あらゆる家事、兄弟姉妹の世話などを一手に引き受けています。
『ヤングケアラー』の存在が社会問題として取り上げられるようになったのは、2015年頃からで、年々増加傾向にあります。プライバシーの問題から教師なども個人の事情には踏み込めていないのが現状です。地域や学校で認知されにくいことも、ヤングケアラーの問題を深刻化させている原因のひとつです。 例えば、学校の教員は、気になる児童・生徒のことを「問題を抱えた子」や「困りごとのある子」という認識はあるものの、家庭内のことはプライバシーの問題であることなどから十分に支援できない状況にあるのです。
市民局の基本目標は、『“すべての市民の元気のために”つなぐ、つくる、まもる』です。
未来を担う子ども・若者が人口減少社会の横浜の未来をつくるため、『ヤングケアラー問題』は、地域の重要問題として取組み、解決を図る必要があります。