山本たかしの政務調査ニュース

「バス交通」について考える!

2021年3月1日 政務ニュースいそご版 

2月5日(金)、磯子区役所で、令和3年第1回区づくり推進横浜市会議員会議が開催されました。議題は、「令和3年度磯子区個性ある区づくり推進費の予算案」。この会議のなかで、私が注目したのが、約1億円の予算がつく『自主企画事業費』です。

『自主企画事業費』とは

 磯子区民の皆様から寄せられる様々なご意見やご要望をもとに、自治会町内会活動や、商店街の賑わいづくり、区民の健康づくり、まちの美化、地域福祉保健計画、子育て、青少年育成、防犯・防災など、磯子区民の生活に関する多岐にわたる課題を解決するために、磯子区が地域力で解決していこうと取り組む事業に係る予算です。

磯子区は、横浜市18区の中でも、区制施行後90年以上が経過した歴史ある区です。海と川、丘と緑にあふれた風光明媚な街、そして人情味あふれる街として、多くの方々から住みやすい街として親しまれています。そんな魅力あふれる街、磯子にも課題があります。それが「バス交通」です。

「バス路線基礎データ調査事業」とは

 横浜市交通局のバス事業は、利用者減少や運転手不足、そして新型コロナウィルス感染症拡大により、地域で減便、廃止が発生しています。一方、区民からは路線バスの増便、新設を望む声が多く寄せられています。 こうした状況を踏まえ、区内のバス路線の基礎的情報を収集、整理し、路線バス事業の現状を区民に正しくお知らせしようとして、新規事業として「バス路線基礎データ調査事業」を実施します。

「バス路線基礎データ調査事業」の課題を整理すると、

  1. 「 バス路線基礎データ調査事業」を取り組むことは、磯子区のバス交通の利便性が低下しているという現状認識の共通理解であり、磯子区役所の地域広聴活動の成果であり、評価します。
  2. 「 市民の足を確保する」という市交通局の経営理念から鑑みると、バス路線の減便や廃止は、生活の利便性を揺るがしかねない問題です。特に高齢者の方々にとっては、外出に欠かせないバスの減便・廃止は死活問題です。
  3. 新型コロナウィルス感染拡大で、バスを利用する市民が減少したことは、市交通局の経営にとって大きな痛手であると思いますが、バス事業を継続するために、市民に減便という犠牲を強いることは、市交通局の経営理念に反します。
  4. バス路線の現状調査をし、区民と課題共有をしたうえで、区民生活の不安を解決する手段を地域ごとに、区民対話で見つけることが重要です。

「観光バス事業」の重点事業として推進すること。

 横浜市交通局のバス事業は、乗車料収入に依存しています。「地方公営企業法」が適用され、「独立 採算制」による業務運営が求められます。 そのために、収益(乗車料収入)が減少した時には、これまで、“ 固定費を削減する” 方法で収支改善を図られてきました。例えば、『運転手削減』、『減車』、『減便』などです。しかし、そのことは、かえって収益(乗車料収入)の減少を加速させます。 そこで、①市民が「マイカー利用を避け、バスを利用するキャンペーン」を行ってはどうでしょうか。また、②「観光バス」を重点事業とした新サービスの提供、例えば、海外の都市にある乗り降り自由の観光バス『 hop – on hop – off 』バスなど、観光MICE都市ヨコハマにふさわしい取組を提案します。

地方公営企業法の抜本改正を求めます。

 地方公営企業は将来の人口減少等に伴う料金収入の減少や施設の更新需要や設備の老朽化などで多くの自治体で事業継続が厳しい局面を迎えています。
 地方公営企業の事業体においては、特性に応じた抜本的な改革が進められており、その内容は、事業廃止、民営化・民間譲渡、広域化、民間活用(指定管理者制度、包括的民間委託、PPP/PFI)など、さまざまです。
 しかし、水道、交通といった市民生活に直接、関係の深い事業を民営化や民間活用など、「民間」に委ねることは、業績によってはサービス低下などの懸念があり、避けなければならないと思います。
 地方公営企業法は、昭和41年(今から55年前)から、制度の根幹にかかわる抜本的な改正が行われていません。公営企業をとりまく環境を大きく変化している現状を踏まえ総務省においては、法改正を含めた公営企業制度の在り方についても速やかに検討をすすめるべきです。

緊急テーマ!横浜市の「駅まで15分」構想

 ゆめはま2010プラン(1997~2001)のなかに「駅まで15分」構想がありました。1997年度では、最寄に鉄道駅まで15分以内に行くことのできる「駅まで15分圏の人口」は、全市民の約74% でした。それを、2001年度までの5年間で、約80% まで引き上げる事を目標に取り組みをすすめてきました。

 2008年3月に横浜市営地下鉄グリーンラインが開業したほか、幹線道路等の整備やバス路線の新設等によって、2007年度末の「最寄り駅まで15分圏」の人口割合は、88.4%になりました。

 現在、「駅まで15分」の交通体系整備はどのようにすすんでいるのでしょうか? バス路線の減便や廃止で、「駅まで15分」構想が後退していることを危惧します。

クローズアップ横浜!!

乗合型移送サービス『とみおかーと』

 京浜急行電鉄は、日産自動車や横浜国立大学、横浜市と共同で、市内金沢区の京急富岡駅西側エリアにおける移動支援を行う乗合型移送サービス(とみおかーと)の実証実験を行っています。この事業の狙いは、高齢化した街の活性化を図り、若い新しい居住者を受け入れることで、街の世代交代を促進する狙いがあります。路線定期運行4路線とフリーエリア運行(区域内70ポイント)の運行となっています。

 今回の実証実験エリアの金沢区との区境に磯子区杉田6丁目、7丁目、8丁目があり、これらの街も京浜急行が開発したエリアです。杉田6丁目~8丁目の課題は富岡地区同様、『高齢化と交通不便地域』です。

 磯子区でも検討しては、どうでしょうか。京急杉田駅へのアクセス向上による杉田のまちの活性化に向け、京浜急行と連携することを模索してはどうかと思います。