山本たかしの政務調査ニュース

市会第3回定例会で“市長公約”に質問集中「市長公約の財源は??」

2021年10月1日 定例会・委員会 

 令和3年横浜市会第3回定例会は、山中竹春新市長により召集され、9月10日から10月22日の43日間の会期で開会中です。

 今回の定例会において、9月16日の本会議(一般質問)では、各会派の代表から、新市長が掲げた『3つのゼロ』へ、実現可能性を問いただす質問が集中しました。

 現在、横浜市の財政課題は、多くの借入金(一般会計に対応する借入金残高3兆1700億円)がある一方で、慢性的な税収不足が続いています。(毎年平均△500億円 令和3年度△970億円) また、少子高齢化時代を迎えた横浜市の社会保障経費は増え続け、将来に不安があります。

 大都市ヨコハマは、神奈川県の事務を一部担うなど、都市的財政需要(3900億円)に見合う税源が国から措置されておらず、不足額は年間△2400億円にものぼり、国と地方との不均衡税制の是正が急務となっています。こうした厳しい財政状況から、新市長の選挙公約実現には、「大きな財源の壁」があるとの認識から、各会派の質問が集中したのだと考えます。

 各会派の質問の要点は、「従来の市民サービスをやめてでも、『3つのゼロ』を実現していくのか、市の財源に限りがある中での財源のトレードオフを認めるのか、それとも新たな財源を見つける手立てがあるのか」であり、山中市長の選挙公約に対する強い決意と覚悟を正したものでした。

 山中市長からは、「市民と市会で十分検証しながら検討していく」、「事業検証を行い無駄を見直していく」との答弁にとどまり、新たな財源の確保策についての言及は見られませんでした。

 『3つのゼロ』は、市民にとって大変期待するものですが、その実現に向けた決意や覚悟、具体的政策が示されなかったことから、きわめて残念な印象は否めません。

◆『 3つの0(ゼロ)』実現のための財源(想定額)

  1. 敬老特別乗車証(75歳以上無料) 69億円/年
  2. 小児医療費助成の拡充 39億円/年
  3. 出産費用ゼロ(基礎的費用) 50億円/年

※本数字は、令和4年度予算総額で、毎年、漸増傾向にあります。

160億円/ 年

◆ 中学校給食の実現に向けた財源(想定額)

  1. 自校方式
    309億円 (97校で実施困難)
  2. 親子方式
    84億円 (100校で実施困難)
  3. センター方式
    372億円 ( 市内6か所の給食センター(15000食規模)が必要ですが、建設用地は1か所しか確保できず。用地代は別途かかります。)
  4. 自校+親子+センター方式
    314億円(70校で自校・親子方式での実施困難。別途、給食センター6か所(8000食規模)が必要ですが用地確保は困難)

※ 本事業想定額は、全校実施の場合の施設整備費ですが、毎年、委託運営費(ランニングコスト)が別途かかります。

この実現可能性に対し、山中市長からは『選択制デリバリー型給食の全員給食』への移行という見解が示されました。