山本たかしの政務調査ニュース

厳しい財政状況の中、安全・安心施策を中心にメリハリある予算執行が重要と認識。

2021年12月13日 定例会・委員会 

◆事業の優先順位をつける。

 令和3年横浜市会第3回定例会が閉会しました。
 令和2年度決算収支は54億円の黒字でしたが、来年度の収支見通しは400億円の収支不足が予測されています。
 横浜市財政の課題を正しく認識し、「事業の優先順位」をつけるとともに、横浜経済の「成長を促す新たな財源」確保に「長期的視点で取り組む」ことが重要です。私たちが暮らす横浜市には、数多くの課題が山積しています。
 その継続には、いくつかの条件があります。特に重要なのが、事業を実行するための「予算の裏付け」です。令和3年度の横浜市の税収は約8400億円。一方で、一般会計、特別会計、公営企業会計あわせた横浜市の歳出規模は、約4兆円であり、事業を進めていく上では、国からの予算措置、すなわち補助金などの財源を確保する必要があります。

◆道路、がけ地、踏切などの安全対策の重要性

  1. 都市計画道路の遅れを取り戻す横浜市の都市計画道路は680km。そのうち整備済の道路は470kmです。整備率69.1%です。20の政令市都市中、19位の低位水準にあります。都市計画道路は、いうまでもなく経済活動を行い、社会生活を送る上で欠かせない都市インフラです。都市計画道路の遅れは、首都東京のベッドタウンとして発展した横浜が臨海部から内陸部へと急激な住宅開発が進みJR、相鉄、京浜急行、市営地下鉄などの鉄道網が整備される一方で、道路整備が遅れためです。道路整備には、用地買収や工事に多額の費用がかかるため、市の単独予算では、実現は不可能です。政府による「道路認定路線」に指定されることで、国から予算が措置されるため、国と市が一体となって取り組むことが重要です。
  2. 急傾斜地崩壊危険区域の保全工事を急ぎます。

急傾斜地やがけ地の多い横浜では、がけ地対策を急がねばなりません。土砂災害防止法改正により、「土砂災害特別警戒区域」は、急傾斜地の崩壊等が発生した場合に、建築物に損壊が生じ住民等の生命又は身体に著しい危害が生ずるおそれがあると認められる区域として、特定の開発行為に対する許可制や建築物の構造規制等が行われます。横浜市のがけ地2404か所のうち、「土砂災害特別警戒区域」が2,065区域指定されています。磯子区においては、96の急傾斜崩壊危険区域が「土砂災害特別警戒区域」に指定されています。なお、指定されている急傾斜地崩壊危険区域の管理主体は神奈川県ですが、神奈川県の予算化が進まないため、急傾斜地崩壊危険区域の安全対策が遅れています。

  1. 「 連続立体交差事業」は踏切の安全と街の交流をつくります。

磯子区の踏切の安全対策は重要です。 先月10月7日に、京急線屏風浦-杉田間の線路で踏切の事故があり、上下線計61本が運休し、約2万6千人に影響しました。鉄道各線での踏切事故の危険性は絶えず、その解決方法に「連続立体交差事業」があります。相鉄線の星川―天王町間の踏切による慢性的交通渋滞と通行の安全確保のために、連続立体交差事業が完了しました。この結果、踏切の安全に加え、街の交流という副次的効果が生まれました。踏切改良や連続立体交差事業は、市民の安全を確保するために大変重要な施策であり、今後、国と連携して取り組んでいきます

◆自立経営をめざす「特別自治市」の立法化

 378万人の人口を擁する大都市である横浜市は、神奈川県に代わって「大都市特例事務」を行わなければなりません。具体的には、保健所や衛生研究所、土木事務所など、保健・衛生、都市計画に関する事務で、それぞれの機関が県に代わって設置されています。障害福祉や児童福祉の分野も大都市特例事務の1つです。しかし、この大都市特例事務に関しても、問題が残されています。それは、大都市特例事務において発生する費用負担の問題です。大都市特例事務で要する費用は全国で4000億円ですが、そのうち国に代わって政令市に交付税等で措置されるのが1500億円です。したがって、残りの63%占める2500億円は、政令市が費用を負担することになります。受益者負担という考えもありますが、一方で、大都市特例事務ができた経過や国税と地方税の不均衡等の課題もあり、抜本的に税の不均衡を正すため、横浜市が進める「特別自治市制度」の立法化を急がねばなりません。

◆今ある危機と将来の危機

 1日100万回を超えるワクチン接種が進んだ結果、新型コロナ感染者数は急激に減少してきました。しかし年末に向け『第6波』が懸念される状況は変わらず予断は許しません。 10月の衆議院総選挙でも、コロナ対策の成果と今後の対策について争点となり、自公政権のもとで、懸命に取り組んだワクチン接種や抗体カクテル療法などの成果により、諸外国にくらべ圧倒的にコロナパンデミックを抑え込むことができたことは評価出来ると思います。一方、地球温暖化の影響でシベリア凍土が溶けだし新たな微生物由来のウィルスの脅威も心配です。わが国が、『科学立国日本』の威信にかけて、国産ワクチンや治療薬の開発承認ならびに感染症専門研究医療施設の整備を実現しなければなりません。