山本たかしの政務調査ニュース

お急ぎの時もエスカレーターでは立ち止まりませんか?

2021年1月10日 定例会・委員会 

10月26日から11月30日までの期間中、通勤や通学などで利用する駅構内に、このポスターが掲出されていたことをご存じでしょうか?

 全国鉄道事業者50社局、商業施設、森ビル、東京国際空港ターミナル、 日本空港ビルデング、成田国際空港、(一社)日本民営鉄道協会、( 一社)日本地下鉄協会、(一社)日本エレベーター協会、九都県市首脳会議(埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・横浜市・川崎市・千葉市・ さいたま市・相模原市)、福岡県が共同で、「エスカレーター『歩かず立ち止まろう』キャンペーン」を実施し、ポス
ターやディスプレイ広告の掲出を行なうほか、各社で呼びかけなどを実施しました。横浜市では、交通局、健康福祉局そして道路局の3局が共同してキャンペーンに参加しました。横浜市交通局は、市営地下鉄駅構内でのポスター掲出、地下鉄車内ディスプレイでの動画放映、健康福祉局は市庁舎デジタル
サイネージでの動画放映、道路局はホームページでの動画配信などに取り組みました。

 昨今、エスカレーターをご利用になる際に、ご自身でバランスを崩して転倒されたり、駆け上がったり駆け下りた際に他の利用者と衝突し転倒させるなどの事故が発生しています。また、エスカレーターで歩行用に片側をあける習慣は、左右いずれかの手すりしかつかまることのできない市民にとっては危険な事故につながる場合もあり、だれもが安心してエスカレーターを利用できるよう「歩かずに立ち止まろう」「手すりにつかまろう」などの呼びかけを実施しています。


 東京消防庁によると、2017年にエスカレーター事故で搬送された人は1396人に上り、発生場所は駅など「道路・交通施設」が63%を占めました。日本エレベーター協会の調査でも13~14年に把握したエスカレーター事故1475件のうち「歩行してつまずき転倒」などの「乗り方不良」が原因の約6割に上ります。日本エレベータ̶協会では、「エスカレーターの安全基準は立ち止まって利用することを前提にしている」と強調、歩行中に人や荷物と衝突したり、バランスを崩して転倒したりすれば大事故につ
ながりかねず、ケガや障害で一方の手しか使えない人にとって、片側を人が歩くのは不自由で危険」と訴えています。鉄道各社でも2021年、多くの外国人や障害者が訪れる東京オリンピック・パラリンピックを控え、歩行禁止の啓発活動に力を入れています。


 歩行禁止の場合の輸送効率は、エスカレーターの利用者全員が2列に並んで歩くと、輸送効率は全員が立ち止まった場合の1.5倍、1時間あたり4千人の輸送能力が6千人に上昇するという研究結果がでています。1列を静止レーン、もう一方を歩行レーンとした場合の効率は、英・ロンドンの地下鉄で誰も歩かない場合と比較したところ、歩行なしの方が輸送量が30%上昇したという研究結果がでています。

日本エレベーター協会の担当者も「エスカレーターを歩く人にとっては到達時間の短縮になるが、エスカレーターに同時に乗れる人数は減る」と指摘。「特に朝のラッシュ時の駅で電車から降りた人を一気にさばく上では、両側に立つ方が効率が高まる」としています。