高齢社会の福祉は、経済の成長です政務調査ニュース

長生きしてよかった横浜をめざします!

6月6日から6月15日にかけ、よこはま自民党は来年度(平成29年度)予算要望に向け、各種団体からご意見ご要望をいただきました。しっかりと取り組んでまいります。
今回の政務ニュースでは、「超高齢化社会の横浜の安心の高齢者福祉の充実」をテーマに、横浜市介護老人保健施設経営者会からヒアリングした内容を中心に介護福祉の課題を取り上げます。

よこはま自民党による予算要望ヒアリング|山本たかし

消費税増税と社会保障

 我が国は世界に類をみない急激なスピードで超高齢社会へつきすすんでいます。医療や介護にかかる負担も年々増え続け、社会保障を賄うための財源不足が深刻な状況です。毎年1兆円以上の医療費負担の増大は、利用者である国民やサービスの担い手である介護福祉事業者に大きな負担をもたらしており、持続的なサービス提供のためにも消費税の引き上げが必要です。しかし消費税10%への増税は国民世論の前に2年半の延期を余儀なくされました。消費税増税を盛り込んだ予算編成をしている地方自治体にとっても、今後の行政サービスについて慎重な対応が迫られます。

介護福祉の現場は人材不足!

2025年に37.7万人の介護職不足が見込まれていますが、事態はさらに深刻化しており、すでに介護・看護職不足が始まっています。人員不足により事業所閉鎖に追い込まれる事態も発生しています。この人材不足を補うべく、事業者は人材派遣会社や紹介会社に多額の費用を支払い、その結果、経営を圧迫する事態になっています。(平成25年~平成27年度3か年で3億80百万円の費用が発生) また、そうして採用した介護・看護職人材も、派遣職員の75%、紹介雇用職員の40%が6か月未満で退職する(定着しない)ため、事業所の経営負担はますます厳しくなってきています。

 また派遣(非正規雇用)から正社員(正規雇用)に変更になった際に利用できる『キャリアアップ助成金制度(※)』も、介護系派遣社員が、“パート時給の倍近い派遣時給”を理由に、ほとんどが派遣職員のままでいることを希望するため、『キャリアアップ助成金制度』は活用されない実態にあります。厚生労働省の推計によると、2025年における全国の介護職不足人数は約37万人にのぼり神奈川県において約2万5千人不足するといわれています。全国ワースト4位です。2025年には要介護者が現在の1.8倍に増える予測から、保健・医療・福祉において現状の1.8倍の人材確保が必要となります。

  • ※ キャリアアップ助成金制度有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者といったいわゆる非正規雇用の労働者(以下「有期契約労働者等」という)の企業内でのキャリアアップ等を促進するため、これらの取組を実施した事業主に対して助成をするものです。

他産業に比べ、賃金が低い介護現場

介護人材の担い手不足が常態化している要因の1つに、他産業に比べ賃金格差が大きいことがあげられます。例えば45歳~49歳では、施設介護職員の平均年収は339万円、全産業平均644万円と比べ305万円の格差があります。
(厚生労働省の「賃金構造基本統計調査(2013年)」参照)
 また、介護人材確保のネックになっているのが、横浜市の住宅家賃が相対的に高いことです。その解決策として注目されるのが、平成27年1月から保育士確保のために推進している『横浜市保育士寄宿舎借上げ支援事業』における家賃補助制度の活用です。
この制度を市内の介護施設の新規就労者促進に活用できないかというアイデアです。保育士確保のために導入された本制度は、88法人から申請があり531戸の交付がされています。この制度を介護人材確保のために展開できないかということですが、『横浜市保育士寄宿舎借上げ支援事業』における家賃補助制度』も国からの補助金も5年間限定であり、横浜市単独では今後、本制度維持の補助金を拠出していくことは困難な状況でることから、引き続き国に対して補助金の継続を要望する必要があります。介護人材確保に向けても同様に抜本的対応を国に働きかける必要があります。

基準を超える人員配置は経営に大きな負担

 介護老人保健施設では、条例により医師はじめ専門職の人員が定められています。しかし現実的には、その最低限配置基準での配置は稀であり、ほとんどの施設が基準を大きく上回る人員を配置しています。その理由は、利用者や家族が施設サービスに求めるレベルが年々高まっているからです。介護に対する考え方も、個別ケアや多くの在宅復帰を目指すためにリハビリ職の増員が必要になるなど、「より人・手間・時間のかかる」考え方へ移行しているからです。しかし、基準を上回る増員をしても国からの加算はありません。こうしたことから増員に関わる人件費負担は事業経営を圧迫してきています。さらに神奈川県の地域最賃も905円(前年887円)と毎年上昇しており今後も地域最賃上昇は介護施設の経営を圧迫します。

特別養護老人ホームの現状と課題

平成30年度の次期介護報酬改定を見据え、大都市ヨコハマの高齢者福祉行政の現状と課題を横浜市福祉事業経営者会のヒアリングを通じ確認しました。平成26年度の「平均収支差額率」は過去5か年の中で最低水準の4.72%でした。これは、サービス活動収入(=介護報酬)に比べサービス活動に要する費用が大きいため、収支が悪化しているという意味です。では、『なぜ収入(=介護収入)が減っているのか?』、それは、短期入所の利用率が低下したからです。宿泊機能を備えたサービス付き高齢者住宅やお泊りデイ等の居住系サービスが多様化したため、特別養護老人ホームでの短期入所(ショートステイ)の利用者が減ったためであり、加えて職員不足により前年比9%減となりました。このように利用者低下は収入減(=介護報酬減)を招き、施設経営に大きな影を落としています。

 横浜市内の赤字施設は全体で30.4%、従来型は43.29%、ユニット型は14.00%です。横浜市が重点推進する「ユニット型施設」(1人1室利用)は、整備費用が割高であるため、従来型からの転換もかなり難しく経営収支を圧迫しています。
 横浜市では、職員の採用や定着を強化するため、国の基準を上回る「職員1人あたりの給与」を支給していますが、一方で「職員不足」により年々、派遣職員への依存度が高まっています。平成26年度の横浜市が基準としている『人件費率』は60.8%。これには派遣職員が含まれておらず、安定経営のためには、人件費率70%を確保する必要があります。

 現在の特別養護老人ホームの待機者は10,158人。従来型4,900人、ユニット型2,040人、その他3,218人となっています。「要介護度3以上が入所可能(要介護度1や2は入所できません。)」ですが、『医療サービスを利用中の方は対象外』となっており、利用者にとってもまだまだ入所のハードルは高いといえます。

高齢者福祉行政に関して

「ユニット型への建て替え」促進の助成予算を確保、介護職員がやり甲斐をもって働ける給与水準に向けて介護報酬引上げ、そして、ミスマッチをおこしている特別養護老人ホームの“約240床の要活用ベッド”の「ショートステイへの転換」を要望します。

世界のハブポートをめざし、強い横浜経済の再生を!

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