東日本大震災から5年
横浜の地震防災対策を検証する政務調査ニュース

「熊本大地震」発生!政府や自治体の懸命な救援・復旧支援

熊本大地震|山本たかしこのたびの熊本大地震は、地震国日本にとって、いつなんどき地震をはじめとした自然災害に見舞われるかわからないことを示しました。政府の迅速な救援・復旧作業は、自衛隊、近隣自治体はじめ多くの方々の協力と共に進められていますが、避難された方々の苦難苦痛を考えると心が痛みます。指定都市市長会(会長:林 文子横浜市長)では「広域・大規模災害時における指定都市市長会行動計画」の適用を決定し、現地支援本部設置担当市を中心に先遣隊を被災地に派遣し、被災状況を把握するとともに、現地支援本部を設置し、被災自治体の支援を行っています。現地支援本部設置担当市は広島市、支援隊派遣都市は岡山市、福岡市、北九州市が担当、中央連絡本部長に林 文子横浜市長が任にあたっています。

希薄化する横浜市民の自助・共助マインド

横浜市は5年前に発生し、いまだに復興の道半ばである東日本大震災の教訓を活かし、被害想定を見直し、被害想定を軽減するための減災目標を設定、目標達成のために必要な対策を効果的かつ効率的に実施していくため、平成25年4月に「地震防災戦略」を策定しました。この「地震防災戦略」は平成25年度から平成34年度を対象期間としており、概ね3年ごとに見直すこととなっています。しかし、地震防災戦略の大部分は『公助』による災害に強いインフラ整備であり、市民や地域による『自助・共助』ではありません。大事なことは、「自らのまちは自らの手で守る自助・共助の取組み」であること、今回の熊本大地震からあらためて学びました。 平成27年に実施した「横浜市民の危機管理アンケート調査」でも『市民一人ひとりが漠然とした災害に対する不安を抱えているものの自分の命を自分で守るために備えるといった行動につながっていない』ことが結果として示されました。『“自助、共助”という言葉を聞いたことのない市民は53%』というショッキングな結果となっています。

リスクマネジメントの必要性

 「よこはま地震防災市民憲章」にもあるように、『地震への備えは十分か』『今、地震が起きたらどう行動しようか』『周りのためにできることが私には必ずある』『次世代に伝える自助・共助の大切さ』… 一人ひとりの備えと地域の絆、いわゆる市民力・地域力が必要です。地震が発生した際、個人や家庭、地域や企業のリスクへの備えの欠如が、パニックを引き起こし被害をさらに拡大させます。リスクマネジメントは、一人ひとりの責任の上に成り立ちます。横浜の安全安心の防災対策に向け、一人ひとりが自助・共助のアクションを起こすことが必要です。

横浜市地震防災戦略

横浜市地震防災戦略|山本たかし

  1. 市民および地域の防災力向上

    • 感震ブレーカーの設置補助(木造住宅密集市街地等の自助の取組を支援)
    • 減災パンフレット「わが家の地震対策」の作成・配布
    • 防災・減災推進研修(町の防災組織のメンバーを対象に実施)
    • 市民防災センターのリニューアルオープン(平成28年4月)
  2. 火災による被害の軽減

    「横浜市地震防災戦略における地震火災対策方針」を策定(平成26年3月)し、木造住宅密集市街地など地震による火災の延焼被害が大きい地域を中心に、ハード対策とソフト対策の両輪で火災対策をすすめる。

    • 不燃化推進地域における「新たな防火規制」による建築物の耐火性能強化の義務付け
    • 老朽建築物の除去および耐火性の高い建築物の新築への補助
    • 延焼遮断帯の形成の推進
    • 感震ブレーカーの設置補助

    ※まちの不燃化推進事業(耐火性の高い建築物の建築件数5700件目標)
    ※初期消火器具等設置補助事業(設置補助200基→700基へ上方修正)

  3. 建物倒壊による被害防止

    市内の建物の耐震化を推進し、建物倒壊等による被害を軽減しています。

    • 民間の特定建築物、木造住宅、分譲マンションについて、耐震改修費用の一部を補助
    • 区庁舎(消防署)等を対象として、耐震改修・建替・移転等を推進
    • 補強対策を必要とされた校舎について、耐震補強工事が概ね完了
    • 横浜市営住宅で耐震化が必要な施設について、耐震補強工事が完了

    ※横浜市公共建築物天井脱落対策事業(対象施設105施設)

  4. 津波による被害防止

    発生頻度は極めて低いものの、発生すれば甚大な被害をもたらす最大クラスの津波を想定し、 住民避難を軸とした総合的な津波対策をすすめています。

    • 津波からの避難ガイドラインの策定(平成23年8月)
    • 津波避難情報板(16か所)、海抜表示(約8600か所)の設置
    • 津波避難施設の指定(174か所)
    • 津波警報伝達システムの整備(89か所 磯子区9か所)

    ※焼却工場の津波浸水対策(水密扉および止水板設置)

  5. 帰宅困難者発生抑制と支援

    東日本大震災の経験を踏まえ、帰宅困難者の抑制や一時滞在施設の拡充をすすめています。

    • 帰宅困難者の発生抑制
      従業員等の留置きや飲料水、食料等の物資備蓄等に関する事業者等への啓発
    • 帰宅困難者一時滞在施設の拡充
    • 災害時帰宅支援ステーション(徒歩帰宅者に対し、水道水やトイレ、災害関連情報の提供等の支援ができる施設)の協定締結推進(2078か所)

    ※帰宅困難者一時滞在施設の指定、物資の備蓄(5.7万人→6.7万人へ上方修正)

  6. 災害時医療体制等の強化

    東日本大震災に伴う医療活動で得られた教訓等を踏まえ、災害時医療体制等を強化します。

    • 総合調整・指揮機能の強化
      • 市医療調整チームの設置
      • 市および区に災害医療アドバイザーを設置
      • 市および区に災害医療連絡会議を設置
    • 緊急度・重症度に応じた医療提供体制
      • 被災を免れ診療可能な医療機関は緊急度・重症度に応じて医療提供
      • 地域防災拠点にいる負傷者等は医療救護隊(121隊)が巡回診療
    • 医薬品等の備蓄および供給体制
      • 地域の薬局での流通備蓄等や市内医薬品卸会社からの供給
      • 他都市の医薬品救援物資は物流拠点として横浜薬科大学で一元化
  7. 地域防災拠点の充実・強化

    被災者の方の避難場所や救助等の活動拠点となる地域防災拠点の充実・強化を図ります。

    • 地域防災拠点の追加指定、特設公衆電話回線の整備などの情報受伝達手段の確保
    • 地域防災拠点の開設基準、閉鎖等の実施者及び手順等の明確化
    • 女性及び要援護者等に対して配慮すべき事項・専用スペースの確保等について明確化

    ※下水道直結式トイレの整備(平成34年度までに1505基整備予定)

自助・共助の強化に向けた提言

自助・共助の強化策として、「18歳年齢での消防教育義務化」や「消防団資機材整備」、「消防水利(防火 水槽、初期消火器具)の確保」などが考えられるが、何より大切なことは、地域町内会や自治会で実施される 「防災訓練への全員参加」と「若手の防災拠点リーダーの育成」です。今回の熊本大地震でも、「救援物資は あるものの人手不足のため避難所へおもうように供給されない」、「ボランティア人材が不足」「ボランティア を確保できても、必要とするスキルとのミスマッチ」、「避難所(防災拠点)でリーダーシップを発揮する人材 不足」など、日ごろからそれぞれの役割と責任を明確化していないと“いざ”という時に機能しません。

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