選挙権「18歳」と教育の現場政務調査ニュース

「横浜学園高等学校」田沼光明理事長対談

平成27年6月、公職選挙法の一部を改正する法律が成立し、平成28年6月19日に施行されます。これ以降、満18歳以上20歳未満の若者が新たに選挙に参加することができるようになります。この年齢に該当する若者の数は日本全国で240万人。横浜市内には10万4千人の若者が政治に参加できるようになります。議会制民主主義の我が国は、選挙で選ばれた議員が、国民を代表し法律をつくり予算を決定します。しかし、政治の主役はあくまでも国民一人ひとりの意思です。その意思を表す手段が「選挙」です。日本の未来をつくる若者が、政治に関心をもち、選挙権を行使することが国をつくるうえで大変重要です。政府は学校での政治や選挙等に関する学習内容の充実を図るため、総務省と文部科学省が連携し『私たちが拓く日本の未来』を作成しました。その中では「有権者になること」、「選挙の実際」、「政治の仕組み」、「年代別投票率と政権」、「憲法改正国民投票」をわかりやすく説明しています。 ≫『私たちが拓く日本の未来』総務省・文部科学省

このたび、横浜市磯子区岡村2丁目にある横浜学園高等学校を訪問し、田沼光明理事長から教育現場からみた若者の政治への関わりについて意見をいただきました。そして教育現場における政治や選挙等に関する学習の課題や歴史・道徳教育の重要性を学んできました。

横浜学園高等学校、田沼光明理事長

「以和為貴」の前で、横浜学園
田沼光明理事長

横浜学園高等学校

明治32年(1899年)横浜女学校として誕生し、明治38年(1905年)に神奈川県私立横浜高等女学校として認可されました。昭和22年(1947年)磯子区岡村に移転し、学制改革により横浜学園中学校、高等学校として設立されました。現在の生徒数800名強で、市内外から多くの生徒が通学しています。国公立大学を目指す学校ではありませんが、自然環境あふれた環境の中で、自由な気性と自主の独立の学風の下、文武両道の学園生活をおくっています。学校の上にある「横浜丘の上美術館」の宮崎曠代先生の指導のアートコースが人気で、生徒の感性を伸ばす教育にも力を注いでいます。

平成28年の夏の参議院議員選挙から、選挙権が18歳に引き下げられます。日本の未来を担う若者が「政治」「選挙」にどう向き合うのか?教育の現場から聞きました。

山本今年の夏の参議院議員選挙から18歳に選挙権が引き下げられますが、18歳から選挙権をもつことに対してどう思われますか。

田沼社会の一員として、政治に関心をもってくれることは大歓迎です。ただ具体的にこれから意識を高め、政治にど う向き合ってもらうのかどう教えていけばよいか今後の検討になります。今、教育カリキュラムの中で「公共」があり ますが、その中に政治や選挙のことを盛り込んでいくと思います。

山本政治を身近な存在にしなければなりません。そういう観点から地域社会とのかかわりをもつ教育をされていま すか。何か特長的な活動がありましたら教えてください。

田沼3か月に1度程度ですが、社会奉仕活動としてボランティア清掃をしています。地域の方々から大変喜んでいた だいています。生徒にとっては社会との交わる一場面であり、大きな刺激になっています。

山本身近なボランティア活動を通じて社会の一員であることを自覚し、あわせて将来の自分像を描くことができ、そして自分たちの国や政治にも関心をもつことはいいことですね。

田沼日本では、なかなか進んでいませんが、フランスでは、小学生低学年の頃から、「自由、博愛、平等」を教える など公共心を育む教育がされています。自らの国を考え、国民として何をなすべきか、一人ひとりがしっかりとした考えを持っています。日本にも昔から親や地域を通じて伝わる倫理道徳があり、日本の歴史があります。そうした道徳や歴史を大切にすべきでしょう。

山本校長室に「以和為貴」という額がありますが、この由来について教えてください。

田沼この書は、海軍大将で終戦間近い1945年(昭和20年)5月に内閣総理大臣となり日本を終戦に導いた鈴木貫太郎首相の妻の孝子の書です。孝子は岡村出身です。鈴木貫太郎は1936年(昭和11年)2月26日の二・二六事件で青年将校の襲撃をうけ、4発の銃弾に倒れ瀕死の重傷を負います。鈴木貫太郎を身を挺して守った孝子は軍国主義が台頭する混乱期に強く生き貫いた女性でした。

山本以和為貴(和を以って、貴と為す)」という聖徳太子の17条憲法の中には、『仲良くしなさい。けれど自分を見失ってはなりません。和して同ぜず、自主自立の精神・人格をもちなさい』というメッセージが込められています。まさに横浜学園の建学の精神に触れる思いです。

田沼孝子がこの書を遺したのは、どんな時代にあっても、人と相和し、自らが自立し、そして人を思いやる人間にな ってほしいという願いがあります。これから選挙権をどう行使していくのか、そのことも大切ですが、1人ひとりが家庭や地域の中で可能性をもって挑戦し、他人への思いをもつ人として成長してくれることを希望しています。教育においてはアクティブ・ラーニングがますます重要になってくると思います。「考える力」を身につける、自らの考えをまとめ発言する、そんな能力が求められます。未来の日本を拓く若者が自分の考えをしっかりともち、たくましく成長してほしいものです。

山本選挙権年齢を引き下げることをプラスにしていかねばなりませんし、そのことで日本が再生するチャンスになると思います。ありがとうございました。

選挙権年齢の18歳への引き下げは、学校教育において課題は山積しています。横浜市選挙管理委員会や教育委員会いずれもその意義を理解していますが、取り組みは緒についたばかりです。特定の政党に偏った政治教育は教育基本法第14条で制限されています。そんな中で政治や選挙に関心をもつためにも、我が国の生い立ち含め、今こそ歴史を学びなおし道徳を重視した教育を行うことが不可欠と感じました。

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